2015-12-16

小学校低学年での先取り学習

連載コラム – 海外子女教育でよくある話

① 塾通いの低年齢化が進む現状

ゆとり教育以降ますます公教育への不安・不信が広がり、また「経済格差が教育格差につながる」という論調が広がる中、早い時期から塾通いや習い事を始めるご家庭は多くなり、この20年の間に2倍に増えたという調査結果もあります。その結果、小学校低学年からの学力格差はさらに拡大し、「やっていない子」よりも「やっている子」が有利になっているのですが、実は「やっている子」にも様々な問題が生じているのです。

② 低学年で見られる問題

小学校低学年の子どもたちを見ると、「字がきたない」「忘れ物や宿題忘れが多い」「問題文の指示を読まない」「先生の話を聞かない」「授業中すぐにトイレに行きたがる」「授業中ネガティブな発言を連発する」等の問題が、以前に比べて増えているように感じられます。その原因として、低学年のうちは体力が強くないから、習い事が多いと疲れて集中力が散漫になり、最初からモチベーションが低いから学習への興味が持てなくなる点が挙げられます。そうなると、「できない」「間違える」ことに慣れ過ぎてしまい、場当たり的な学習姿勢になり、自信が持てず楽しくなくなるという面も考えられます。

③ よくある「間違った学習」の例

 また低学年で優秀な結果を出している子どもでも、高学年になると問題が発生するケースがあります。例えば算数で、小学校のうちに中学・高校分野まで先取り学習が進んでいる生徒がいますが、彼らの多くは「文章題や図形に苦手意識を持つ」「計算は速いがミスも多い」といった問題を抱えています。また英語でも、小学校のうちに英検で上位の級を取ったが、中学に入ってから「単語はスペルミスだらけ」「一般動詞とbe動詞の使い分けができない」等、基本レベルでの問題に直面している生徒が見受けられます。

このようなケースでは、問題点が上の学年に進むと表面化することが多いものです。そして「自分はできる」という思いがプライドや慢心につながり、やがてそれが崩れて混乱に陥ることもあります。

④ 先取り学習のメリット・デメリット

 実はこのような事例は小・中学生を指導している現場で毎年のように発生しています。もちろん公文式や英検にはいい面がたくさんあり、学習意欲を高めるきっかけとして非常に有効ですが、使い方を間違えると今後に悪影響を与えることもあるのです。

さいごに

ポイントになるのは、子どもの現状に合った内容をやっているかどうかです。私たちの経験上、1年以上先の内容を先取りしても効果はあまり大きくないどころか、学習姿勢に偏りや歪みが生じてしまう危険を感じています。上の級を合格するために無理に高学年の内容をやるより、まずは「よい学習習慣を定着させること」が大事です。このようなものは「〇級合格」のように分かりやすいものではありませんが、だからこそ逆に大人側がしっかり意識すべきテーマなのだと思います。(大塚)

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