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教育コラム 「先生、その教育もう古いです!」

【第22回】 中学校の定期テストが難しくなっている?

テスト勉強

 このコラムをお読みのお父様・お母様が公立中学校出身なら、学校の中間・期末テストには簡単な問題が出るイメージをお持ちかと思います(※苦手教科を除く)。地域や学校によって差はありますが、基本的に教科書に沿った内容が出題されるのが前提でした。
 しかし現在の日本人学校の定期テストを見ると、基本レベルの問題も出ていますが、難易度の高い問題も出題されています。解答形式も用語や記号で答える問題だけでなく、記述式も多く出されています。しかも問題の量が多いので、時間内に解き終わるのが難しいケースもあります。(実際に問題を見たお母様から「昔に生まれてよかった~」との声を聞いたこともあります。)
 その理由として2つの要因が考えられます。1つは「高いレベルの競争への対応」です。日本人学校生の学力レベルは全国平均よりも高く、しかも大都市圏以外の地域に戻る(=公立高校を目指す可能性が高い)生徒もそれなりにいるので、内申点が重要になるから定期テストに全力を注ぐ生徒が多くなります。そこで高得点を出す生徒が多くなると5段階の評定がつけづらくなるので、問題を難しくして点数が下がるようにするのです。
 もう1つは「新しい学力観への対応」です。従来の「知識・技能」だけでなく、読解力や思考力・表現力を問う問題も加わっています。例えば数学では、長い文章や資料を読んで答える問題や、数値だけでなく途中の式や考えを書かせる問題が出されています。これは高校入試も含めた全体的な傾向であり、大学入試改革の話にもつながっています。
 以上の話から、現在の日本人学校の定期テストが難しくなっているのをご理解頂ければと思います。もしお子様が定期テストで低い点数を取ったとしても、その理由がご本人の能力・努力だけではないケースも多いのです。また各教科とも、中1よりも中2・中3、第1回よりも2・3・4回と進むにつれて難しくなる傾向があります。どの生徒も努力している以上、点数については思った通りにいかないことが多いとお考えください。
 定期テストや入試の問題を通して、求められる学力が変化していることを実感することが多々あります。一夜漬けの丸暗記で対応できるような時代は終わり、これからはより多様で実践的な問いに対しても答えられるよう準備する必要があります。「短期間よりも長期間」「詰め込みよりも考えること」の2つは、これからの定期テストを考える上でポイントになると思われます。そして私たち大人側が過去の経験に基づいた考えから脱却し、これからの状況に合わせたアドバイスや学習環境を与えることも重要だと感じています。