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教育コラム 「先生、その教育もう古いです!」

第3回 記述式の問題が増加する!

記述

 大学入試改革での大きな変更点として、現行の「センター試験」が「大学入学共通テスト」に変わることが発表されていますが、この中で注目されているのが、今までのマークシート式だけでなく、新たに国語・数学で記述式の問題が登場することです。
 ここでのポイントは、「知識だけでなく思考力・表現力も問うこと」と、「学んだことを実生活に結びつけて活用すること」です。今までのマークシート式の問題では、「知識の量」を問うことはできても「思考の質」を見ることは難しかったので、記述式の問題を加えることによってバランス良く学力を測れるようになります。
 しかしこの変更に対して疑問の声も上がっています。例えば「国公立大学では二次試験を課しているので、そこで記述式の問題が出題すれば十分だ」とか、「記述式の採点は手間がかかるので人員・経費の負担が大きくなり、結果が出るまで時間がかかる」、あるいは「記述式の問題は採点する人によって点数に差が生じるので、公平でなくなる」という意見が出されています。これらの批判は、今までの方式との比較を考えれば当然ですが、逆にこの議論から「日本の問題点」が見えてくるとも考えられます。
 以前から「点数は取れても実践的に使えない」「自分の意見を話すことができない」ことが、様々な場面で日本人の一般的な弱点として表れていて、その原因として入学試験での知識偏重の傾向が問題視されていました。グローバル化が進む世界において日本が発展する(というより生き残る)ためには、教育の手法を改革するのは必然であり、その一環として記述式の問題が増加するのは自然の流れなのです。現に中学入試では、随分前から記述式の問題が増加する傾向にあります。
 また「効率性」や「公平性」を重視する考え方は日本人の中に割と強くありますが、あくまでもそれは規格品を生産する場では重要であっても、教育においてはそれ以外の側面も大事にされるべきです。時間や手間をかけてでも本質を追究する姿勢は、新しいものを生み出すときや難しい問題を解決するときに必要となるものです。
 今まで日本が発展してきた時代では、今回の改革で取り入れられようとしている「思考力・表現力」はあまり重要視されていませんでした。しかしそれは数十年前の話であり、今を生きる私たちは現実を直視し、未来を生きる子どもたちのために考え方をアップデートしなければいけないのです。この教育改革は、私たち大人の思考にも改革を迫っているのかもしれません。