学習空間NOAH

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教育コラム 「先生、その教育もう古いです!」

【第9回】 アクティブラーニングって何?

タブレット

 日本の子どもたちの学習に対する関心・意欲は、世界各国の中でも低い方だと統計調査で出ています。これは私たち教育に関わる日本人がもっと危機感を持つべきテーマだと思います。
 今までの日本の教育は、教師が数十人の生徒を指導する集団授業が中心でした。この形式は、多くの生徒に多くの知識を伝えることができて効率的ですが、学習内容を理解できない生徒も多くなる欠点もありました。これを解決するために、能力別クラス編成・少人数クラス・個別指導等の形が登場し、(欧米諸国に比べればまだ多い方ではありますが)昔に比べれば一人ひとりを細かく見ていける状況にはなっています。
 しかし根本的な問題は解決されていません。1クラスあたりの人数が少なくなっても、教師が一方的に指導するだけでは、生徒のモチベーションを引き上げるのは難しいのです。そこで登場したのが「アクティブラーニング」です。生徒たちがグループ単位で学習し(議論や発表、教え合い等)、受け身ではない姿勢で学習することを目指します。
 内容についても、教室での授業だけでなく、実体験を通して興味・関心を引き出すことも有効な手段になります。インターネット等のITを利用した学習も積極的に活用します。各自でテーマを設定して、時間をかけて論文作成に取り組むのも一つです。このような多様なアプローチを通して、新しい能力を身につけることを図ります。
 このような指導を、私も数学の授業で実践することがあります。実際に立体を作ってみたり、議論を通して公式を導き出したり、グループに分けて問題をチーム戦で競い合ったりします。ここでは私の役割はファシリテーター(進行役)で、生徒たちが自力で答えを出すのを見守る側です。途中で私が説明しようとすると、多くの生徒が「ちょっと待って!」と阻止します。普段の授業以上に彼らは熱中し、答えを出せたときの盛り上がりは相当なものです。「学習塾は受験に向けてのテクニックを教えるところ」とお考えの方には意外に映ると思いますが、テストの点数や合格実績を追い求める前に、私たちがやるべきことはあるのです。
 大学入試改革で今までの知識重視の傾向から、様々な学力を測る方向に変化すれば、学習の在り方や授業の進め方も今までとは異なるアプローチが求められます。入試の選抜方法においても、アクティブラーニングの要素が取り入れられつつあります。時代と状況の変化を踏まえ、私たち教育関係者が積極的に実践に移すことが今こそ必要であり、その意識・行動の差が今後数年で大きな差につながるのではないかと感じています。