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教育コラム 「先生、その教育もう古いです!」

【第12回】 この1年間で大学入試改革はどこまで進んだか?

願書

先日行われた「大学入試改革」に向けての教育講演会には、多くの保護者の方々にお集まり頂きました。そこで出てきた話の中で、ぜひ皆様に知って頂きたいことをいくつか書きたいと思います。

1.2020年度から大学入試が大きく変わる
 センター試験が「大学入学共通テスト」になり、マークシート式に加えて記述問題が登場します。先月行われた試行調査でも、国語では3問の記述問題が出され(一番多いのは80字以上120字以内)、数学でも同様に出されています。問題の中身も、複数の資料を読み取り、情報を統合・考察する力が問われ、マーク式では正答が複数ある(または正答がない)問題が出ています。また日常生活や社会とのかかわりが題材となる問題も増えます。英語民間検定試験の導入だけでなく、試験の中身も大きく変わるのです。

2.今までの学力を前提に、新しい学力も問われる
 これまでの日本の入試は、学力の3要素の中で特に「①知識・技能」が重要視されていましたが、これからは「②思考力・判断力・表現力」と「③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」も問われるようになります。一般入試は筆記試験の点数で決め(①を重視)、AO入試(総合型選抜)や推薦入試(学校推薦型選抜)は学力試験を課さない(②と③を重視)傾向が今まではありましたが、今後はどの入試でも学力の3要素が求められるのです。さらに入試改革以降、国立大はAO・推薦入試で定員の3割を募集するようになります。3つの学力をバランスよく身につけることで、幅広い選択ができるようになるのです。

3.中長期的な取り組みが評価の対象になる
 「③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価する資料として、学校からの推薦書だけでなく、活動報告書・大学入学希望理由書・(大学入学後の)学修計画書等、本人が作成する資料も出願時に求められるようになります。例えば京大の特色入試では、中学から現在までの学びの活動についての記述も求められます。海外にいる間に経験したことや頑張ってきたことも、評価の対象になり、活かせるのです。

 旧来の「①知識・技能」に偏った勉強だけでは不十分で、①を踏まえて②や③の学力を身につけることも必要です。今までと比べて、子どもたちには多くのことが求められ、そのための準備期間も長くなります。その結果、生徒間の学力格差はますます広がるでしょう。そして保護者の皆様がどのようにお子様の教育に関わっていくかがカギになるのです。