学習空間NOAH

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教育コラム 「先生、その教育もう古いです!」

【第19回】 「協働」って何だろう?

グループ学習

 これからの社会ではコミュニケーション能力が重要になりますが、それは「英語を話せるようになる」「外国人と友達になる」というレベルではありません。お互いの考えを理解・尊重した上で自分の意見を述べ、様々な人々と協力しながら課題を解決し、新しいものを作り出す力だと言えます。これは未来を生きる子どもたちにとって必要不可欠なもので、「学力の3要素」では重要な柱の一つとして「主体性・多様性・協働性」と表現されています。
 しかし今までの日本の教育は、集団の中でルールを守ることや指示に従うことを重要とし、各個人が自分の考えを出して行動することに否定的な場が多くあります。また「知識・技能」を重視し、点数で個人の能力を判断する傾向の強い日本の入試制度では、「協働」のような異質で数値に表しづらい力を合否の判断材料として見ようとしません。特に受験は個人戦で、「競争相手に勝つ」のような考え方を大人側が煽ることもあるので、余計に「協働」のような価値観が根付かない風土になっているのかもしれません。
 このような状況に対し、特に私立の中高一貫校や大学は強い危機感を抱いています。点数を取ることだけに特化した生徒より、多様な学力や問題意識を持ち合わせている生徒の方が入学後に伸びることは、多くの先生方から話が出ています。帰国生入試には、そのような生徒を求める学校側の願いも込められているのです。(そうです、海外生の皆さんは「希望の星★」なのです!)
 確かに海外に住む生徒たちは、これまでの異文化体験等から、他の人たちと関わることに対しての抵抗感が少ないのかもしれません。私たちが実施した「アクティブラーニング合宿」では、学年も性別も異なるメンバーで班を作り、グループ単位で学習から発表まで行いましたが、予想以上に彼らはスムーズに役割分担を決め、準備を進めていました。さらに回を重ねるごとに手順もよくなり、手早くプレゼンの準備を終わらせ、さらに良い内容にしようと工夫していました。日頃の授業とは一味違う生徒たちの可能性に感心したものですが、それは「協働」という状況が触発したのかもしれません。
 帰国生全員がこのような経験を積み、コミュニケーション能力を持ち合わせている訳ではなく、様々なバックグラウンドの違いがありますが、お互いに高め合える存在になれるよう、生徒たちには様々な場を通して学んで欲しいものです。そしてそれを実現するには、周りの大人たちが様々な場を提供できるよう、意識的に動き、時には協力し合いながら作り上げる必要があるのかもしれません。もしかすると「協働」というテーマは、私たち大人にも求められているのかもしれませんね。