学習空間NOAH

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教育コラム 「先生、その教育もう古いです!」

【第41回】 海外生には経験が必要?

体験

 学習空間NOAHは4月3日・4日に「第4回アクティブラーニング合宿」を行いました。内容については別のページにそのときの様子を掲載させて頂きましたので、合宿を通して考えたことをここではお伝えしたいと思います。
 そもそも私たちがこの「アクティブラーニング合宿」を開催しようと考えたのは、思考力や表現力、主体性や協働性、そしてIT技術の習得など、「新しい学力」と呼ばれる力を子どもたちが身につけられるようにすることが目的でした。学校でも修学旅行や校外学習等はあるのですが、それとは別に総合的に学習する機会を設けることが今後ますます必要になると感じたからです。
 だがそれ以外にも、「海外だから得られる経験をして欲しい」という思いもありました。日本ではできないこともできるはずなのに、多くの生徒たちは目の前の勉強等に追われて、そのようなことに目を向けられていないのが実際のところです。だから入試に向けての面接練習を行うと、定番の質問である「海外での生活を通して得たこと」について話せるネタがないケースも見受けられるのです。海外に住んでいるのにもったいないなーと思ってしまうのです。
 しかしそれは子どもたちではなく、大人側の問題です。子どもたちが様々な経験をできるような環境を、本来ならば大人側が工夫をして作り出す必要があるのに怠っていて、その代わりに「勉強しろ」の一言で簡単に片付けているのかもしれません。もちろん机に向かう時間と学習量は必要ですが、それだけでなく人間的な成長が伴うことによって学力は向上するので、そのためにも様々な経験は必要なのです。
 このような理想主義的な話をすると、「学習塾は成績を伸ばし志望校合格に向けてたくさん勉強させればいいだろう」という声も聞こえてきそうですが、逆に「学習塾だからこそ分かっていてできることがある」とも思うのです。そのアイデアが具現化されたものが「アクティブラーニング合宿」やNOAHオリジナルの「表現・コミュニケーション講座」であり、それは学習塾の新しい在り方の一つになるかもしれません。塾は学習する場であることに変わりはありませんが、「何をどのように学習するか」は今後急速に変化すると考えています。
 以上堅苦しいことを書いてしまいましたが、とにかく私が思うのは、せっかく海外にいるのだから、子どもたちにはいろいろな経験をして、それを今後に役立てて欲しいのです。そのためにも私たちは「アクティブラーニング合宿」のような企画を今後も実践し、より充実した、より楽しい(これが大事!)内容を提供したいと考えています。

【第42回】 予習動画は役に立つ?

予習動画

 昨年と同様バンコクは、4月からの授業がオンラインになってしまいました。昨年から数えて3回目の休校なので、ご家庭・お子様・学校・塾ともにオンライン授業に慣れたと思いますが、それでもやはり教室での授業が一番です。この記事が公開される頃には教室が再開されることを、切に願うものです。。。
 さて昨年のオンライン授業をきっかけに、学習空間NOAHでは中学生の数学・英語と小5受験算数で予習動画を作成し、授業で活用しています。オンライン授業を始めた頃は(私たちの経験不足等もあり)なかなか思うようなペースで授業が進まず、それを打開するために導入した面もありました。通信環境に影響されずに学習できるのが、一つ目のメリットでした。ちなみに以前から説明動画はユーチューブに出回っていましたが、私たちの動画はそれを見て終わりになるのではなく、そこで指示された問題を解き、次の授業での説明や演習でより理解度を高めることを目指しました。
 しかし導入して1年が経ち、改めて振り返ると、私たちが想定していた以上の効果が見えてきました。まず基本事項を事前に動画で予習するので、授業ではその空いた分の時間で練習問題や応用問題を扱い、解説もできるから、今までならば宿題で出されて分からずに苦労していた問題の理解度が高まりました。またその時間はグループワークでの学習も取り入れ、楽しみながら主体的に学ぶ姿勢も向上しました。
 さらに授業だけでなく、自主学習の中で動画を活用する生徒も出てきました。例えば編入試験や数学検定等、各個人の目標に合わせて、授業とは別に必要な単元の動画を視聴して学習しているのです。そのような生徒は単に成績が向上しただけでなく、自立した学習ができるようになり、人間的にも成長したように感じられます。
 もちろんすべての生徒に対して効果が出ているわけではありません。動画を見忘れる生徒や、動画をただ流すだけでノートをとらない生徒もいます。またマジメにやっているつもりでも上手くいかないときがあります。そこで改めて学習の進め方を話し、自分でできるようになるまで粘り強く接する必要があります。このような学習システムに慣れるための時間は、生徒によってはそれなりに必要なのかもしれません。
 この予習動画は、教室が再開しても引き続き活用しています。改善を加えて、できるだけ多くの生徒がより前向きに学習できるようになるシステムにしたいと考えています。今後VR(ヴァーチャル・リアリティー)技術がどう進歩するかにもよりますが、意外とこの予習動画の学習システムは一般的に定着するのではないかと、勝手に予想(期待?)しています。

【第43回】 オンライン授業のメリットとは?

渋滞

 コロナ禍による休校が長引き、オンラインで学習する期間も長くなっています。ご家庭でのお話を聞くと、学校や塾に通えないから苦労しているケースも見受けられるので、できるだけ早く教室での授業が再開できればと願うものです(6月上旬時点)。
 しかしこの状況に慣れると、オンライン学習の良い点もいろいろ分かってきました。どのようなメリットがあるかを、様々な観点から挙げてみたいと思います。

• 移動がないから、時間を有効に活用でき、また移動に伴う体力の消耗もない。
(特にバンコクの場合、渋滞に巻き込まれずに済むのは大きな利点です。)
• 少し体調に不安があるときでもオンラインで受講できれば、欠席が少なくなるので継続して学習できる。
• (例えば不登校や健康上の問題等で)長期間学校に通えない生徒に、学びの場を提供することができる。
• 今までなら現地に行かないと受講できなかった先生の講義を、世界のどこからでもオンラインで受講することができる。
(先日は内田樹先生のオンライン講義を開催しました。)
• 機材と通信環境さえ整えば、途上国の子どもたちにも質の高い教育内容を提供することができる。
(国によっては教師の質と人数を確保することが難しい場合もあります。)
• PCやタブレット等を使うことが多くなるので、ITを扱う能力が向上する。
• 自分で責任を持って行動しなければいけない部分が増えるので、自立心が養われる。

 以上の話を踏まえると、次のような未来像が考えられます。

• オンライン教育のメリットが様々な面で明らかになり、コロナ禍が終息したとしても引き続き活用される。また技術の進歩により、今より質的に改善されたオンラインのサービスが提供され、さらに広い範囲でオンラインが活用される可能性がある。
• 対面での授業でしかできないこともあるので、教室での学習自体は残る。しかしオンラインとの使い分けが進み、学校や塾で学習する内容やアプローチが大きく変わる可能性がある。
• オンラインで学習できる内容と機会が飛躍的に広がったので、モチベーションがある人はいろいろなことを吸収できる。逆に学習意欲がない人は取り残され、今まで以上に個人間の「モチベーション格差」がポイントになる。

 特に最後の点について、オンライン学習に対して馴染めない生徒(そしてご家庭)にとって今は非常に学習しづらい状況かと思いますが、これを克服しないと現時点での差が今後大きな差につながる可能性があります。子どもたちが前向きな気持ちで粘り強く取り組めるよう、大人側は励まし、環境を整備することが必要であり、まさに今こそ分岐点となるタイミングかもしれないと感じています。

【第44回】 オンライン学習を上手に活用するコツは?

挙手

 休校期間がこれだけ長くなると、現状や今後に不安を感じているご家庭も多いかと思います。先行きが見えない状況ではありますが、それでも少しは前に進めるようになることを願い、今回は「オンライン学習を上手に活用するコツ」を共有できればと思います。

① 質問したいときどうすればいい?
 ZOOMでオンライン授業を受講しているとき、ただ聞くだけではなく発言もしたいけれど、なかなか自分から言い出せないケースがあります。そのような場合、チャット機能や手を挙げるアイコン等を使うといいのですが、まだそのような機能を使っている生徒はそれほど多くないです。
 逆に言うと、まだ質問する人が少ないうちに、どんどん質問してくれたらと思います。最初は勇気がいるかもしれませんが、先生にとっても質問はうれしいものなので、心配しなくても大丈夫。1回やってみれば、割とフツーに使えるようになりますよ。

② オンライン授業を楽しむには?
 ここで紹介する話は、NOAHで開催したオンラインサロンの中で卒業生が教えてくれたものです。
 オンライン授業では、教室で授業を受けるときよりもジェスチャーを大きめにしましょう。例えば先生や他の生徒の発言に大きくうなずいたり、先生のつまらない(?)ギャグに笑ったり、等です。(マイクをオフにして)声を出すのもアリです。自分が動くことで、主体的に参加している意識が高まります。またいろいろな反応が見えた方が、話す側(先生)にとってもプラスになり、場の雰囲気が明るくなります。いろいろな効果が生まれるので、ぜひお試しください。

③ 動画を上手に活用する方法は?
 オンラインでの授業だけでなく、ユーチューブにアップされている動画を見て学習することも多くなりました。学習空間NOAHでも、数学・算数や英語で予習動画を取り入れた授業を行っています。しかしまだ動画での予習に慣れていない間は、うまくいかないケースも見られます。
 その場合に私が勧めているのは、動画を長い時間まとめて見るのではなく、少しずつ区切りながら見ることです。例題が出たら一時停止して問題を解き、解き終わったら解説を聞き、終わったらまた止めて類題を解き、解き終わったら丸つけをして、直しをしたら次を再生して…、という感じです。

 以上挙げた話は、どれもありきたりな話かもしれませんが、意外とできないものです。私たちも生徒たちに声をかけ、励ましながら、より楽しく効果的なオンライン授業を共に作っていきたいと思います。

【第45回】 帰国生大学入試では何が問われるの?

大学

 他の地域と同様、バンコクでもインター校に在籍する生徒の比率は年々上昇し、さらに如水館バンコクが来年度から募集停止になることから、帰国生大学入試の話が登場する機会が増えています。「まだ先の話」という方も多いと思いますが、それでも考えられる選択肢は知っておいた方がいいので、今回は帰国生大学入試についてお話します。
 同じ帰国生入試でも、中学入試・高校入試は一般入試に近い形式で、同じような問題を解くことが求められるので、多くの場合は一般入試の過去問を用いて受験対策を進めます。ところが大学入試(特に文系)の場合、英語と小論文がメインとなるので、一般入試とは科目が大きく異なります。さらに学校によってはTOEFL・SAT・IB等のスコアが必要とされ、面接や志望理由書等も合否の判断材料となります。
 ここまで読んで、「AO入試と似ている?」と思った方もいらっしゃるでしょう。確かに共通する面が多いのですが、「高いレベルの英語力」と「海外生活経験を踏まえた自分の意見」も求められるのが、AO入試とやや異なる点といえます。また大学入試改革の影響で、AOだけでなく一般入試にも英語資格や論述力が求められる方向に進む中、帰国生以外の入試でも(そして大学入学後や社会に出てからも)活用できる機会が広がることも予想されます。
 ただし帰国生大学入試は、どの大学・学部でも実施している訳ではありません。途中で日本の高校に編入した場合、受験の可否について年数等の条件が定められています。また理系の場合、多くの場合は日本式の数学・理科への対応が求められるので、一般入試と同じような対策が必要となります。さらに大学入試は秋入学も含め、様々な種類の入試が新設されています。そして大学・学部での学びを知ることは志望理由で必須となり、その点での理解度や熱意が合否につながることもあります。以上のことから、事前の調べは早めに行いましょう。
 また英語のスコアや小論文に向けての学習は、一夜漬けで成果が上がるものと正反対にあるので、中長期的な視点で学習を進めることがポイントになります。インター校に通い始めの段階ではそこまでの余裕はないと思いますが、大学入試から逆算してどのタイミングで何をすべきかを知っておくことは非常に重要だとお考え下さい。
 以上の大まかな話から、帰国生大学入試の概要が何となくでも伝われば幸いです。私たち大人が経験した入試とは大きく性質が異なるので、分かりづらい点も多々あるかと思いますが、気になることがございましたらまずはご相談ください。とにかく早めの情報収集がカギになります!

【第46回】 インター校生は高校入試で何が問われるの?

高校

 前回のコラムで帰国生大学入試について書いたので、次は高校入試についてお話します。大学入試に比べれば、私たち大人が以前受験した一般入試と共通する部分が多いのですが、それでも帰国生入試ならではの選考方法もあります。
 一般入試と同じような筆記試験の場合、3教科または5教科の入試が中心になりますが、帰国生入試ではそれ以外にも、英語または日本語の作文・小論文が中心になる入試もあります。大まかな傾向として、英語エッセイを書き、面接は日本語&英語で実施され、さらに出願時に英検やTOEFL等の英語資格の提出が求められる、つまりインター校生を主な対象とした選考内容となっています。
 また書類選考が中心となる帰国生入試もあります。日本人学校生の場合は、国内の推薦入試と同じように9教科の評定の合計や英検等の各種資格が基準となりますが、インター校生の場合は、TOEFL等の英語資格や学校での成績・各種活動等が評価の対象となります。志望理由書や課題作文が課され、面接も実施されることが多いです。
 このようにインター校生向けの帰国生入試には一般入試と異なる形も多くあり、しかも学校によって実施形態は様々です。受験形式が変われば、それに向けての準備の仕方も変わりますので、行きたい学校の入試概要は早めに知っておきましょう。
 そしてこのようなタイプの帰国生入試では、英語力が第一に問われます。各種英語資格はもちろんのこと、特に書類選考型では日頃の学校での学習状況も評価の材料として見られます。他の海外都市出身の受験生と競い合うことをイメージして、日々の学習に取り組んでくれたらと願います。
 ここまで書くと、「インター校生は英語だけ頑張ればいいのか~」と思われそうですが、決してそんなことはありません! 人気が高い難関校では主に3教科の筆記試験で、出題レベルは一般入試とほぼ変わりません。第一志望がエッセイや書類での選考であっても、他の受験校がすべてそうなるとは限りません。そして高校入学後は、一般入試を経て入学した生徒と同じクラスで学びます。日本の高校で学ぶのだから、日本式の学習への対応力も問われるのです。
 バンコクには日本式の学習塾がたくさん存在するので、インター校生でも日本式の学習をする機会は簡単に作れます。また塾によって学習の進め方は異なるので、お子様に合った学習スタイルを選ぶこともできます。あとはインター校の学習との兼ね合いで時間を確保しづらい場合、数学または国語の1教科から始めてみると学習ペースを作りやすくなります。気になることがございましたら、まずはご相談下さい。

【第47回】 オンライン入試は定着するか?

テスト

 帰国生入試は年内から始まり、大学受験は9月から、中学・高校受験も10月からスタートし、NOAHに在籍する生徒も何人かはすでに受験し、合格を手にしています。その帰国生入試、日本国内や海外現地での入試に加え、新型コロナによる影響で昨年からはオンライン入試も増えてきました。
 海外生にとってオンライン入試のメリットは、海外どの都市からでも参加できることです。今までは海外でも一部の都市が入試会場になるので、例えばバンコクに住んでいる生徒がシンガポールに行って受験するケースもよくありましたが、オンラインならば外に出る必要がないので、移動の負担や日程の都合に振り回されることがなくなります。また学校側にとっても、世界各地から受験生が集められ、複数回実施でき、しかも移動の負担や会場の手配等が不要になるのは大きなメリットです。
 しかしオンライン入試にはデメリットもあります。実施する学校側としては、不正防止のため今までと同じような各教科の筆記試験を行うのが難しくなり、その代わりに志望理由書や成績資料、面接等を通して受験生を評価する比重が高くなります。それは同時に受験生にとってもデメリットとなります。第一志望校に向けての予行演習として本番に近い雰囲気を味わいたくても、オンラインでは全く別の世界となります。また志望理由書等の準備に向けて時間がかかると、志望順位が高くても負担を感じる人もいます。
 これらのメリット・デメリットを整理すると、次のような流れが予想されます。今まで海外入試で多くの受験生を集めてきた学校ならば、以前と同じように学力検査を実施し、点数によって判定できる方がいいです。今年は新型コロナの影響で往来や会場の確保が難しい面があり、昨年と同様に海外での現地入試を断念した学校もありましたが、来年は状況次第で再開する学校もあると思われます。
 ただしオンライン入試もこの2年間である程度定着したので、受験生を集めノウハウを得た学校は引き続きオンラインで実施するでしょう。新たに帰国生入試で新規開拓を目指す学校も登場するかもしれません。今後考えられるIT技術の進歩も視野に入れると、まだまだ可能性が広がる世界であるといえます。
 以上まとめてみましたが、あくまでも予想であり、世界の状況次第で変わる面は多々あります。それでも「帰国生入試は多様化し、選択肢が広がりそう」であることと、「どのような入試方法にも対応できるよう、志望校の入試情報を早めに知るのは重要」であることに間違いはなさそうです。

【第48回】 教室再開によって問題は解決する?

サボり

 コロナ禍によるロックダウンは段階的に解除され、学校も再開されました。ようやく登校できる状況となり、ホッとしたご家庭も多いことかと思います。特にお子様がオンライン授業に対して集中できていなかった場合、教室再開を心待ちにされていたかと思います。
 しかしそのような場合、学校の教室にいても授業には集中して参加できていないことが多いものです。教室にいれば、先生や周りの生徒からの声掛け(時にはプレッシャー?)によって、表面上は何とかしますが、集中できなければ学習内容は頭に入りません。確かにオンラインによって学習姿勢が悪くなった面もありますが、オンラインを通して「実態がご家庭に可視化された」面もあるので、オンラインから教室に戻ってすべての問題が解決される訳ではありません。それ以上に根本的な問題点に注目すべきなのです。
 ここでポイントになるのは、「学ぶことの楽しさを実感する」という、ポジティブな方向へ動かすことです。特に学年が低いうちは、「分かった!」「できた!」「面白い!」と感じることが伸びる原動力となります。「集中できない」「苦手意識がある」「モチベーションが低い」等のネガティブな要因を抱えている生徒には、「○○しなさい」という指示だけでは、(たとえできるはずでも)それができないことへの不安から、より追い込まれてしまいます。
 もちろん楽しいだけでなく、「学習習慣を身につける」ことも大事です。習ったことが定着し、アウトプットできるようになれば、結果が伴い、自信がつき…、という前向きな流れができます。ただしそのスタート地点でポジティブな感覚がなければ、その学習は「義務としての作業」に留まってしまい、定着度も下がってしまいます。そうなるといくら勉強しても成績が上がらず、疲れてしまい、集中度が下がり…、という悪循環に陥ります。
 では「学ぶことの楽しさ」は、どのように得られるのでしょうか? 学校でも塾でも、大人数でも少人数でも、さらに言うならば教室でもオンラインでも、いろいろな場面でチャンスはあると思います。ただしその場の雰囲気や先生との相性、そのときの学習内容や本人の体調等、様々な要因によって決まるので、「ご縁」や「巡り合わせ」という面もあるとお考え下さい。
 学習塾にもいろいろありますが、私たちは「学ぶことの楽しさ」を授業を通して実感してくれたらと常に考え、実践しております。塾に対する抵抗感をお子様がお持ちの場合でも、体験授業を通して楽しいイメージに変わったケースは多々あります。学年を問わず、いろいろな機会を試してくれたらと願います。

【第49回】 教育業界の考え方は時代遅れ?

時代遅れ

 教育の現場に長い間いると、「この業界って非常に保守的・閉鎖的だな~」と感じることが多々あります。これは学校だけでなく学習塾も含めてそう思うものです。
 まず学校や塾は一つの組織として役割分担等がシステム化され、生徒たちが入学し卒業するまでの流れが出来上がっています。その中で先生たちは、昨年までと同じ行事を無事運営し、イレギュラーを極力発生させないことが求められます。これは組織が大きくなるほどその傾向は強くなります。また先生たちは多くの時間を学校や塾という限られた場で過ごすことになるので、教室の外で何が変化しているかを知ることが少なくなります。そしてそれを知らなくても授業や業務にあまり影響はないので、いつの間にか知識や感覚が「時代遅れ」になってしまう先生も少なくありません。
 これに加えて、日本社会全体が昔と同じ感覚で教育を考えている面もあるかと思います。週刊誌は毎年「大学合格数ランキング」を掲載し、進学校や予備校・塾は合格実績を一番にアピールします。偏差値は受験校を決める上で重要なポイントとなり、親子とも模試の結果に一喜一憂します。親世代の状況から変わっていないのです。時代は進み、世界は大きく変わっています。「いい大学に入って、いい会社に入って、安定した収入を得る」という考え方は、終身雇用制が崩れ、世界中と競い合う現在の状況にもはや通用する話ではありません。しかしそれを否定すると目標があいまいになり、しかも将来が見通せないから、「今までと同じ考え方でいいや」となってしまうのです。
 このような状況ならば、学校や塾は「何も変える必要はない」と考えるものです。もし根本的なところを変えようとすると、今まで構築してきたシステムが使えなくなり、新しく作り上げることが必要となります。現在の状況が続くことが、多くの学校や塾にとって一番楽で確実な道なのです。しかしその先には何があるのでしょうか。今までの日本の教育をすべて否定するつもりはありませんが、このままでは日本は世界から取り残されるように感じます。そしてそのツケは確実に子どもたちに回り、私たち大人側にはその責任があるのです。
 では私たちに何ができるのでしょうか? 今までの教育を当たり前と決めつけず、いろいろな視点から検証することが必要です。そして私たちNOAHは教育に携わる側として、新しい形を提案します。子どもたちにとってより効果的で、将来役立つ力を身につけられる、そのようなプログラムを新年度から実践します。

【第50回】 「新しい学びのカタチ」はズバリこれです!

オンラインチューター

 新型コロナが世界に広がり、長期休校に伴いオンライン授業が本格的に導入されましたが、この2年の間に「学び方」は大きく変化し、私たち学習塾も大きな転換点に立っています。
 まずオンライン授業に関しては、予習動画等の新しいコンテンツが開発され、多くの生徒はオンラインでも問題なく学ぶことができ、さらに日本に帰国しても参加できるので、「教室の代わり」ではなく「新しい可能性を提供できる授業」として大きな役割を果たしています。もちろん教室でしかできないことはいろいろあり、低学年のお子様には対面授業が適している等、すべてを解決できる訳ではありませんが、オンラインで大半のことはできてしまう世界になったのです。
 そこで学習空間NOAHでは新年度から、小5以上は教室授業とオンライン授業を併用し、どの学年も通塾は週1~2回になる時間割にします。教室・オンライン双方の良い面を活かし学習効果を上げると同時に、塾への行き帰りの時間を有効に利用できるよう図ります。特にバンコクでは、渋滞に巻き込まれるリスクが半減するのは大きなポイントになるかと思います。
 しかしまだ「オンラインへの苦手意識」が問題として残っています。日本人学校の定期テスト結果は二極化し、授業やテストに対応できない生徒がコロナ以前に比べて大幅に増加しています。その原因として、オンライン授業では「モチベーションが上がらない」「ただ聞いているだけ」「何をすればいいか分かっていない」等、学ぶ姿勢や習慣の問題が挙げられています。ただしこの問題はコロナ以前の教室でも存在し、その実態がご家庭で可視化されたという面もあるのですが、いずれにしても解決しなければいけない問題です。
 そこで学習空間NOAHでは新年度から、「オンラインチューター制度」を導入します。これは通常の授業とは別に、毎週25分決まった時間に、オンラインかつマンツーマンで指導するものです。生徒の状況によってサポートする内容は様々で、はじめはオンラインの使い方や宿題の進め方から、苦手教科対策や質問対応、定期テスト課題や受験校過去問の進行状況チェック等、幅広い内容に対応します。これによって一人ひとりが抱える問題をクリアにして、前向きに学習できる環境を作りたいと考えています。
 最後になりますが、このコラムも50回を迎え、まだまだお伝えしたい話はありますが、ちょうど一区切りとして今回で終了することになります。4年以上にわたり掲載させて頂いたバンコクマダム様、そしてこの連載をご愛読されていた読者の皆様に深く感謝申し上げます! 引き続きNOAHは「新しい学びのカタチ」をバンコクで実践していきますので、お子様の学習で何か気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。これからも宜しくお願いします!